賃貸アパートの管理において、シロアリ被害は避けて通れない重要な課題の一つです。近年、気候変動や建物の高齢化により、シロアリ被害の報告が増加傾向にあります。シロアリは建物の構造に重大な損害を与える可能性がある深刻な害虫であり、早期発見と適切な対策が建物の価値を守る上で非常に重要となります。
本記事では、シロアリ対策に関する包括的な情報と実践的な対策方法をご紹介します。予防から駆除まで、オーナー様が効果的に対策を進められるよう、具体的なアプローチ方法を解説していきます。
シロアリ被害の主な症状

シロアリ被害を早期に発見するためには、以下のような症状に注意を払う必要があります。
このような症状が出た場合、建物に白アリ被害が出ている可能性があります。
白アリ駆除や検査を行う会社に問い合わせをし、検査を行うことをおすすめいたします。
シロアリが発生する主な原因

シロアリの発生を引き起こす環境要因について、詳しく見ていきましょう。
シロアリは特定の条件が重なった際に発生しやすく、以下のような環境要因が密接に関係していることが分かっています。
建物周辺の高い湿気
特に梅雨時期や排水不良箇所周辺での湿度上昇は、シロアリの活動を活発化させ、建物の木材部分への攻撃を増加させる要因となります。湿度が70%を超える環境は特に要注意です。
木材と地面の直接的な接触
土台や柱の腐食を促進し、シロアリの主要な侵入経路となるため、特に注意が必要です。
地面との接触部分は防腐処理が施されていても、経年劣化により保護効果が低下する可能性があります。
建物の老朽化による木材の劣化
経年変化で木材が柔らかくなり、シロアリの好む環境が自然と形成されていきます。
特に築20年以上の建物では、木材の強度低下と共に、シロアリの餌となりやすい状態になっていることが多いです。
雨漏りや水漏れによる木材の湿潤化
継続的な水分供給がシロアリの生存と繁殖活動を促進し、被害を拡大させます。
特に浴室や台所周りの水漏れは、発見が遅れると深刻な被害につながる可能性が高くなります。
不適切な排水による建物周辺の水はけの悪さ
地面に水が溜まりやすい状況は、シロアリの生息に適した環境を作り出します。
特に、雨季や台風シーズンには、建物周辺の地盤が常時湿った状態となり、シロアリの活動が活発化する危険性が高まります。
床下換気の不足による湿気の滞留
空気の循環が悪いことで湿度が上昇し、シロアリの繁殖を助長する環境となります。
特に夏季は床下温度も上昇するため、高温多湿な環境がシロアリの繁殖にとって理想的な条件となってしまいます。
周辺環境からの侵入
近隣建物に既にシロアリが生息している場合、地下を通じて新たな生息地を求めて移動してくる可能性があります。
シロアリは地下50メートルまで潜り、数十メートルの距離を移動することができるため、周辺建物の状況にも注意が必要です。
シロアリを発生させないための予防対策とは?

1. 建物の定期的な点検
年2回(春と秋)の床下点検の実施
建物の健全性を確認し、早期発見につなげるため、専門家による定期的な床下点検が不可欠です。
特に床下点検では、木材の状態、湿気の有無、シロアリの痕跡などを総合的に評価し、建物の構造的な安全性を確保することが重要です。
建物周辺の湿気状態の確認(特に雨季前後)
梅雨時期や台風シーズン前後は特に入念に点検し、建物周辺の地盤の湿り具合や水はけの状況を詳しく調査します。地盤の状態は季節によって湿度や温度が大きく変化するため、定期的なモニタリングと記録が建物の長期的な保全に重要な役割を果たします。
木材の腐食状態のチェック(特に水回り周辺)
浴室、キッチン、洗面所など水を使用する箇所周辺の木材は特に注意深く観察し、変色や軟化などの兆候がないか確認します。水回り周辺は常に高湿度環境にさらされているため、木材の劣化が加速する可能性が高く、特に慎重な点検が必要となります。
雨どいや排水設備の点検(詰まりや破損の確認)
落ち葉や土砂による詰まり、経年劣化による亀裂や接合部の緩みなど、水漏れの原因となる箇所を重点的に確認します。排水システムの不具合は建物全体の湿気問題につながる可能性があるため、季節の変わり目には特に注意深い点検がおすすめです。
基礎部分の亀裂や隙間のチェック
コンクリート基礎のひび割れや、基礎と土台の間の隙間など、シロアリの侵入経路となりやすい箇所を慎重に点検します。基礎の損傷は建物の構造的な問題に直結するため、微細な変化も見逃さないよう、専門的な知識を持って点検を行うことが重要です。
床下換気口の目詰まり確認
換気口の網に付着した埃や落ち葉、蜘蛛の巣などを確認し、床下の適切な換気が妨げられていないか入念にチェックします。床下の換気状態は建物全体の湿気対策に大きく影響するため、定期的な清掃と機能確認が建物の健全性維持には欠かせません。
2. 建物の環境整備
建物周辺の適切な排水管理
特に梅雨など雨が多い季節の対策として、排水溝や側溝の定期的な清掃、雨水の適切な誘導経路の確保、地下水位の監視などを実施し、建物周辺の水はけを最適な状態に保ちます。
床下や壁周りの換気の確保
こまめな換気・除湿を行い、温度・湿度センサーにより適切な温度・湿度になっているかをよく確認し、建物内部の空気環境を理想的な状態に維持します。
建物周辺の植栽管理
建物との適切な距離を保ち、根の侵入や葉の堆積による湿気の滞留を防ぐため、定期的な剪定と植栽配置の見直しを行います。特に常緑樹は建物から最低2メートル以上の距離を確保することが推奨されます。
雨どいの清掃と補修
定期的なメンテナンスとして、落ち葉や堆積物の除去、下記の部位の点検、破損箇所の早期発見と修理を実施し、雨水の適切な排水を確保します。
雨どいチェックリスト
地面の勾配調整による水はけの改善
建物周辺の地盤を建物から離れる方向に適切な勾配(1/100~1/50程度)を設け、雨水が建物基礎に向かって流れ込まないよう、必要に応じて地盤の整備や排水溝の設置を行います。
床下の清掃と不要物の撤去
定期的な床下点検時に合わせて、堆積した土砂や有機物、建築資材などの不要物を完全に撤去し、床下空間の通気性を確保。同時に床下換気システムの動作確認も実施します。
3. 予防的処置
定期的な防蟻処理の実施
建物の状態や環境に応じて通常5年に1回程度が推奨されており、特に木造建築物では欠かせない予防措置として位置づけられています。処理時期の選定には、建物の築年数、過去の被害履歴、周辺環境などを総合的に考慮する必要があります。
木材への防腐・防蟻剤の塗布
特に水回り周辺の木材には高性能な防腐・防蟻剤を重点的に塗布し、定期的な再処理を行うことで木材の耐久性を大幅に向上させることができます。塗布する薬剤は、木材の種類や使用環境に応じて最適なものを選択し、施工後の効果持続期間も考慮に入れた計画的な再処理が重要です。
床下防湿シートの設置と定期点検
防湿シートを適切に設置し、破損や劣化がないか定期的に点検することで、床下の湿気を効果的にコントロールし、シロアリの活動を抑制することができます。シートの選定には耐久性と防湿性能を重視し、施工時には継ぎ目の処理や端部の固定方法にも細心の注意を払う必要があります。
基礎部分の防蟻処理
新築時やリフォーム時には、最新の防蟻技術を活用した基礎処理を実施し、建物の土台となる重要な部分をシロアリから確実に守ることが重要です。処理方法は建物の構造や地域の特性に応じて選択し、土壌処理剤の選定や施工範囲の決定には専門家の意見を取り入れることが推奨されます。
シロアリ予防システムの導入検討
最新のIoT技術を活用した監視システムや、環境に配慮した新世代の予防システムなど、建物の特性に合わせた最適なソリューションを選択することで、より効果的な予防が可能になります。システムの選定には、初期投資コストだけでなく、運用コストや保守管理の容易さ、データの活用方法なども含めて総合的に検討することが重要です。
定期的な専門業者による予防点検
経験豊富な専門家による綿密な点検を定期的に実施することで、早期発見・早期対応が可能となり、大規模な被害を未然に防ぐことができます。点検時には、最新の診断機器を活用した科学的な調査と、熟練した技術者による目視確認を組み合わせることで、より精度の高い予防点検を実現することができます。
シロアリが発生した場合の対処方法

初期対応
- 専門業者への早急な連絡(24時間以内が望ましい)
- 被害箇所の写真撮影と記録(経過観察用)
- 被害範囲の特定(床下・壁内の調査)
- 入居者への適切な説明と対応(安全確保が最優先)
- 応急処置の実施(必要に応じて)
- 保険会社への連絡(補償対象の確認)
駆除・修繕作業
- 専門業者による詳細な調査の実施(建物全体)
- 薬剤による駆除処理(環境に配慮した選択)
- 被害を受けた木材の交換(構造材の優先対応)
- 建物構造の補強工事(必要な場合)
- 防蟻処理の実施(再発防止)
- 施工記録の保管(将来の参考用)
事後対策
- 再発防止のための防蟻処理(建物全体)
- 定期的なモニタリングの実施(3ヶ月ごと)
- 建物周辺の環境改善(水はけ・換気)
- 保険適用の確認と手続き(該当する場合)
- 予防システムの導入検討
- 定期点検計画の見直し
コストと保険について

シロアリ対策にかかる主なコスト:
- 予防的な防蟻処理:3-5年ごとに必要(坪あたり2-3万円程度)
- 定期点検費用:年2回程度(1回あたり2-5万円)
- 駆除処理費用:被害範囲により変動(10-100万円程度)
- 修繕工事費用:被害状況により大きく異なる(数十万円から数百万円)
- 予防システム導入費用:システムにより異なる(20-50万円程度)
保険について:
- 火災保険や建物保険でシロアリ被害が補償されるケースがあります
- 保険の種類や契約内容により補償範囲が異なります
- 専用のシロアリ保険への加入も検討に値します
- 保険適用の可否は早めに確認することが重要です
長期的な管理計画

シロアリ対策を効果的に実施するためには、以下のような長期的な管理計画が重要です:
- 5年単位の予防計画の策定
- 定期的な建物診断の実施
- 修繕積立金の計画的な運用
- 専門業者との継続的な関係構築
- 入居者への啓発活動の実施
まとめ

シロアリ対策で最も重要なのは、予防と早期発見です。定期的な点検と適切な予防措置を講じることで、大きな被害を防ぐことができます。万が一シロアリが発生した場合も、迅速な対応により被害を最小限に抑えることが可能です。建物の資産価値を守るためにも、計画的な予防対策を実施することをお勧めします。
山友管理のシロアリ対策サポート

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まずは無料相談から承ります。経験豊富なスタッフが、お客様の状況に合わせた具体的な対策プランをご提案させていただきます。
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