はじめに

賃貸物件での蚊の発生は、入居者の生活の質を著しく低下させる厄介な問題です。近年、気候変動の影響により蚊の活動期間が長期化し、その被害も深刻化しています。
本記事では、蚊が発生する原因から効果的な対策方法、さらには予防法まで、専門的な知見に基づいて詳しく解説していきます。
蚊が発生する主な原因
蚊の発生には、住環境における様々な要因が複雑に絡み合っています。
蚊の産卵は水辺で行うため、繁殖には水場が必要不可欠のため、ポイントは水がある場所です。
特に以下のような環境要因が、蚊の繁殖と生存に重要な役割を果たしています。
蚊が発生する主な原因その1:排水溝や雨どいの水たまり

蚊は水に産卵しますので水が滞留しやすい排水溝や雨どいの水たまりじゃ絶好の産卵場所になります。
特に落ち葉や有機物が堆積した場合、栄養豊富な環境となり、蚊の幼虫の成長を促進する最適な繁殖場所となります。
また、排水溝内部の温度は比較的安定しており、蚊の繁殖に理想的な20-30度の範囲を維持しやすい特徴があります。
蚊が発生する主な原因その2:植木鉢の受け皿に溜まった水
蚊は、わずか1センチの水深でも蚊は産卵が可能です。植木鉢の受け皿に溜まった水は安定した水温と環境により、卵から幼虫への発育が促進されます。
特に日陰に置かれた植木鉢の受け皿は、直射日光を避けられることで水温の急激な変化が抑えられ、蚊の繁殖にとって理想的な環境となります。
蚊が発生する主な原因その3:エアコンの室外機からの排水

エアコンの室外機から排出される結露や排水の滞留により、継続的な水分供給が行われ、蚊の繁殖され続ける環境を形成します。
特に夏季は室外機の稼働時間が長くなるため、常時安定した水分供給が行われてしまい蚊の繁殖活動が活発化する原因となっています。
蚊が発生する主な原因その4:バルコニーや庭の放置された容器
バルコニーや庭の放置された容器は雨水が溜まりやすく、見落としがちな発生源となります。
特にプラスチック容器や古タイヤなどは、安定した水温を保ち、理想的な繁殖環境を提供します。
また、これらの容器内部は外部からの風の影響を受けにくく、蚊の産卵や幼虫の成長に適した静水環境を維持します。
蚊が発生する主な原因その5:建物周辺の草むら・藪

成虫の休息場所となり、いわば日中の直射日光や風を避けるシェルターを提供することになるため、蚊の繁殖活動を助長します。
また、これらの場所は湿度も高く保たれ、蚊の生存に適した環境を形成します。
さらに、草むらや藪は野良猫やネズミなどの小動物も引き寄せやすく、蚊の吸血源となる生物の存在も繁殖を促進する要因となっています。
蚊の生態と特徴を知る

効果的な対策を実施するためには、まず蚊の生態について深く理解することが不可欠です。
蚊は一見単純な生き物に見えますが、実際には非常に複雑な生活環境と行動パターンを持っています。その生態は季節や気候、環境条件によって大きく変化するため、効果的な対策を講じるためには、科学的な知見に基づいた総合的なアプローチが必要となります。
特に、蚊の繁殖サイクル、活動時間帯、好む環境条件などの基本的な特性を理解することが、防除対策の成功につながると思います。
蚊の基本的な特徴

蚊の特徴その1:繁殖には水場が必須
蚊の産卵は水辺で行うため、繁殖には水場が必須になります。
産卵から孵化まで、安定した水環境が必要不可欠です。
特に、水温が20-30度の環境で最も活発に繁殖します。
これは蚊の幼虫の代謝活性が最適化される温度帯であり、この温度範囲を外れると成長速度が著しく低下したり、場合によっては死亡することもあります。
また、水質も重要な要素で、有機物が適度に含まれた水環境がより好ましいとされています。
蚊の特徴その2:卵から成虫になるまで7-10日程度
蚊は卵から成虫になるまで7-10日程度かかります。しかしながら、気温が高いほど成長が早まります。
夏季は最短で5日程度で成虫になることもあり、この急速な成長サイクルにより、短期間で個体数が爆発的に増加する可能性があります。
特に梅雨時期から真夏にかけては、高温多湿の環境と相まって、繁殖速度が最大になることが確認されています。
蚊の特徴その3:活動時間は主に夕方から夜間
活動時間は主に夕方から夜間で、日中は日陰や涼しい場所で休息します。
特に日の出前後と日没前後に最も活発に活動し、人を探して吸血行動を行います。
この時間帯は人の活動も活発で、かつ蚊にとって体温調節がしやすい環境となっています。
また、街灯や室内の照明に誘引される性質があり、夜間でも人の生活圏内で活発に活動を続けることができます。
蚊の特徴その4:成虫の寿命は2-3週間程度
蚊の成虫の寿命は2-3週間程度ですが、適切な環境下ではさらに長く生存可能です。
冬季は休眠状態で数ヶ月間生存することもあり、この驚くべき適応能力により、年間を通じて継続的な個体群の維持が可能となっています。
特に室内では、安定した温度と湿度により、通常よりも長期間の生存が可能となり、年間を通じて活動を続けることができます。
蚊の特徴その5:吸血は雌の蚊のみが行い、産卵のために必要な栄養を得る
吸血は雌の蚊のみが行い、産卵のために必要な栄養を得ます。
蚊は、一回の吸血で50-100個の卵を産むことができ、生涯で数百から数千個の卵を産みます。
この高い繁殖力は、蚊が環境の変化や駆除対策に対して素早く個体数を回復できる原因にもなっています。また、吸血後は24-48時間以内に産卵を行うため、継続的な防除対策が重要となります。
蚊の特徴その6:二酸化炭素や体温、体臭に反応して人を探知
最大50メートル離れた場所からでも人の存在を感知することが可能で、汗や呼気に含まれる成分に敏感に反応します。特に運動後や入浴後は体温と発汗量が増加するため、より強く蚊を引き寄せやすい状態となります。
また、妊婦や代謝が活発な人、特定の血液型の人がより蚊に刺されやすいという研究結果も報告されています。
蚊の噂:足の裏が臭い人が刺されやすいって本当?
足の裏の常在菌が放つ臭いが蚊を寄せ付けているため、足の裏が臭い人は蚊に刺されやすいと言われています。
蚊は、生物から発生する匂いを感知して寄ってきます。足の裏には汗腺が集まっており、常在菌が住んでいるため、足の裏の臭いが蚊を寄せ付けているのです。特に足の指の付け根の部分に常在菌が多く、その臭いを蚊が好みます。
具体的な対策方法
蚊の対策方法その1. 発生源の特定と除去
最も重要なのは、蚊の繁殖場所となる水たまりの徹底的な除去です。水たまりは蚊の卵から幼虫、そして成虫へと成長する重要な環境となるため、以下の詳細な対策を定期的かつ継続的に実施することで、蚊の発生を効果的に抑制することができます。
排水溝の定期的な清掃
週1回以上の徹底的な清掃と、殺菌効果のある専用の洗浄剤による消毒を実施します。
特に有機物の堆積や藻の発生がないか注意深く確認することが重要です。
排水溝の蓋や周辺部分も含めて清掃を行い、特に角や隙間に溜まった汚れも丁寧に除去することで、蚊の繁殖環境を効果的に防ぐことができます。
植木鉢の受け皿の水を頻繁に交換
植木鉢の受け皿は2-3日おきの確実な水交換をおすすめします。
長時間の水の放置は蚊の産卵を促進するため、可能な限り受け皿に水を溜めない工夫も検討してください。
また、受け皿自体の清掃も定期的に行い、苔や藻の発生を防ぐことで、より効果的な対策が可能となります。
必要に応じて、水はけの良い受け皿への交換や、底上げなどの工夫も検討しましょう。
不要な容器の撤去や適切な保管
不要な容器の撤去や必要な場合は雨水が溜まらない屋内での保管を徹底します。
やむを得ず屋外で保管する場合は、必ず上下逆さまにするか、防水カバーで保護するとよいでしょう。
特に使用頻度の低い容器は定期的に点検し、破損や劣化がないかチェックすることで、予期せぬ水たまりの発生を防ぐことができます。
また、季節的に使用しない容器は、収納スペースを確保して屋内保管を心がけましょう。
エアコンドレンホース周りの清掃と排水確認
エアコンの室外機の水たまりをなくすため、エアコン配管の詰まりチェックと定期的な洗浄がおすすめです。
特に梅雨時期や夏季は結露水の排水が増加するため、より頻繁な点検が必要となります。
ドレンホースの勾配や接続部分の確認も欠かさず行い、水が適切に排出されているか確認します。
また、室外機周辺の地面に水たまりができていないかも併せてチェックし、必要に応じて排水経路の改善や防水シートの設置なども検討しましょう。
建物周辺の水たまりの定期的な点検と除去
建物周辺の水たまりから繁殖しない様に定期的な点検と排水を行います。
雨天後は特に注意が必要で、窪地や地面の凹みにできた小さな水たまりも見落とさないよう、細心の注意を払って確認します。
建物の基礎周りや駐車場、ベランダなど、特に水がたまりやすい場所は重点的にチェックし、必要に応じて地面の整地や排水溝の設置なども検討します。また、雨樋からの排水先も定期的に確認し、適切な排水経路が確保されているか確認することが重要です。
蚊の対策方法その2. 物理的な対策

蚊の侵入を防ぐための物理的な対策は、長期的な効果が期待できます。
初期投資は必要なものの、継続的かつ高い防除効果を得られる方法です。
以下の対策を組み合わせることで、より効果的な蚊の侵入防止が可能となります。
網戸の設置と修繕
目の細かい網戸の使用が効果的で、特に0.8mm以下のメッシュサイズがおすすめです。
定期的な点検を月1回程度実施し、破損箇所の早期発見と修繕により、長期的な防虫効果を維持できます。特に開閉部分は摩耗しやすいため、重点的なチェックが必要です。
穴が空いたら張替えを行い、蚊の侵入を防ぎましょう。
換気口への防虫ネットの取り付け
(通気性を確保しながら虫の侵入を防ぎます。特に台所や浴室など、湿気の多い場所の換気口には、防カビ加工された専用ネットの使用がお勧めです。また、定期的な清掃と3-6ヶ月ごとの交換により、効果を最大限に発揮することができます)
蚊取り線香や電気蚊取り器の活用
(就寝時の使用が特に効果的で、室内の空気の流れを考慮した設置位置の選定が重要です。窓やドアから1-2メートル離れた場所に設置することで、外部からの蚊の侵入を効果的に防ぐことができます。また、小さなお子様やペットのいるご家庭では、安全な設置場所の確保に特に注意が必要です)
UV捕虫器の設置
(共用部や玄関周りへの設置を推奨。特に夜間の蚊の活動が活発な場所を中心に、効果的な設置位置を選定することで、より高い捕獲効果が期待できます。設置高さは床から1.5-2メートルが最適で、定期的な清掃とランプの交換により、継続的な効果を維持することができます)
超音波蚊除け装置の導入
(特に寝室での使用が効果的で、人やペットに無害な20-70kHzの周波数帯を使用しているため、長時間の使用も安心です。設置範囲は一般的に20-30平方メートルをカバーでき、最新の機種では、スマートフォンと連携して効果を監視・調整できるほか、使用状況の記録や電池残量の確認なども可能です)
蚊の対策方法その3. 蚊が発生しにくい環境の整備

建物周辺の環境管理は、蚊の繁殖と活動を効果的に抑制するための重要な対策の一つです。適切な環境整備を実施することで、蚊が好む環境を減らし、長期的な防除効果を得ることができます。以下の具体的な対策を定期的に実施することをお勧めします:
- 定期的な草刈りと植栽の手入れ(月1回以上の実施を推奨。特に夏季は成長が早いため、必要に応じて頻度を増やすことで、蚊の潜伏場所となる茂みの形成を防ぎます)
- 建物周辺の清掃と整理(週1回の定期清掃が効果的。特に落ち葉や廃材など、水たまりの原因となる物の除去を徹底し、清潔な環境を維持することが重要です)
- 適切な排水システムの維持管理(年2回以上の専門業者による点検に加え、月1回程度の目視点検を実施。排水不良による水たまりの形成を早期に発見し、対処することが重要です)
- 日照・通風の確保(蚊の好む暗く湿った環境の改善のため、建物周辺の枝払いや不要な遮蔽物の撤去を定期的に実施。特に北側や日陰となりやすい場所は重点的にチェックが必要です)
蚊に刺されてしまった場合の対処法

万が一蚊に刺された場合は、症状の悪化を防ぎ、早期の回復を促すため、以下の応急処置を順を追って丁寧に実施することが推奨されます。
患部を清潔な水で丁寧に洗い流す
(低刺激性の石鹸を使用した優しい洗浄も効果的です。ただし、強くこすると症状が悪化する可能性があるため、必ず優しく洗い流すようにしましょう。また、温かい水での洗浄は血行を促進し、かゆみを増強させる可能性があるため、なるべく冷水を使用することをお勧めします)
市販の虫刺され薬を適量塗布
(抗ヒスタミン成分入りのものが特に推奨されます。塗布前に手を清潔にし、優しくマッサージするように塗り込みます。効果を最大限に引き出すため、塗布後は5分程度時間を置いてから次の処置に移ることをお勧めします。また、症状に応じて1日数回の塗布が可能ですが、使用説明書の用法・用量を必ず守りましょう)
氷や冷やしたタオルでじっくり冷却
(腫れと痒みの軽減に特に効果的です。直接氷を当てるのは避け、清潔なタオルで包んで10分程度冷やします。この際、皮膚の状態を時々確認し、冷やしすぎによる皮膚トラブルを防ぐことが重要です。また、冷却と常温を交互に行うことで、より効果的な症状緩和が期待できます)
掻きすぎに細心の注意を払う
(二次感染を防ぐため、爪は短く切っておくことが重要です。また、清潔なガーゼで保護するのも効果的な方法です。特に就寝時は無意識に掻いてしまう可能性が高いため、綿の手袋を着用したり、患部を完全に覆うようにガーゼを固定したりすることをお勧めします)
症状が重い場合や通常と異なる反応が出た場合は、迷わず医療機関を受診
特に広範囲の発赤や息苦しさなどのアレルギー反応の可能性がある場合は、早急な受診が必要です。また、発熱や患部の熱感、腫れの急激な拡大などが見られた場合も、重症化を防ぐため、できるだけ早めに専門医の診察を受けることが推奨されます)
蚊の発生を予防するための日常的な対策

蚊の発生を効果的に予防するためには、以下の日常的な対策を継続的かつ計画的に実施することが重要です。これらの予防策を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
蚊の発生対策その1:週1回以上の側溝・排水溝の清掃
ボウフラ対策のため専用の洗剤を使用し、特に有機物の堆積や汚れがないか注意深く確認しながら丁寧に清掃することをおすすめいたします。
必要に応じて排水管洗浄剤も併用すると、より効果的です。
特に梅雨時期は清掃頻度を増やし、週2回程度の実施が望ましく、排水溝の周辺部分も含めて入念な清掃を心がけましょう。
蚊の発生対策その2:水たまりや水気があるところの除去
幼虫であるボウフラは、空き缶、ペットボトル、バケツ、側溝、古タイヤ、植木鉢の鉢受け等、少しの水があればそこで孵化してしまいます。
家の周りの水たまりをなくし、溝の掃除をし、ボウフラのすみかを無くすことを心がけてください。
蚊の発生対策その3:窓や玄関、あみ戸等を点検ししっかり閉める
蚊を室内に発生させないためにはまず入り込む隙間をなくすことが重要です。
ただ、大変小さな隙間からでも侵入が可能で、人について侵入することもあります。
上の階に住んでいるからと安心していても、エレベーター等でビルやマンション内のどこでも移動が可能です。
窓や玄関扉の建付けの調整、網戸に破れやすきまができていないか点検し合った場合には早めに補修修理することが大切です。
蚊の発生対策その4:防虫スプレーの定期的な使用
月1回の予防散布を基本とし、特に蚊の活動が活発な時期は2週間に1回程度の頻度で実施します。
玄関周りや窓際など、侵入経路となりやすい場所を重点的に散布しましょう。
散布する際は、部屋の隅や家具の下など、蚊が潜みやすい場所にも十分な注意を払い、むらなく散布することが効果的です。
蚊とり線香や、液体蚊とり、プッシュ式の蚊とりと、様々なタイプのものが販売されています。
蚊に効くものであることを必ず確認してください。「防除用医薬部外品」の記載があり、効能や適用害虫等に「蚊」と記載されているものを選びましょう。
使用期間などを必ず確認し、使用上の注意をよく読んで使用してください。
蚊の専門業者への相談が必要なケース

以下のような状況が発生した場合、専門的な知識と経験を持つ業者への相談を強くお勧めします。
早期発見・早期対策が重要なため、以下の症状が見られた際は、できるだけ早めにご相談ください。
蚊の専門業者への相談が必要なケースその1:自己対策では効果が見られない場合
日常的な清掃活動や市販の防虫製品を継続的に使用しているにもかかわらず、蚊の発生が収まらない状況が続いている場合です。
このような状況では、一般的な対策では発見できない隠れた発生源が存在している可能性や、より高度な専門的アプローチが必要となることが考えられます。特に、従来の対策方法を正しく実施しているにもかかわらず改善が見られない場合は、専門家による詳細な調査が推奨されます。
蚊の専門業者への相談が必要なケースその2:大規模な発生が確認された場合
一度に多数の成虫が目撃されたり、複数箇所での同時発生が確認されたりする状況です。
このような大規模な発生の場合、建物全体を対象とした包括的な現地調査が不可欠となり、専門家による体系的な対策プランの策定と実施が必要となります。また、周辺環境も含めた総合的な分析と、長期的な視点での解決策の検討が重要となっていきます。
蚊の専門業者への相談が必要なケースその3:建物構造に関連する問題が疑われる場合

排水システムの機能不全や雨漏り、床下や壁面での水漏れなど、建物自体に起因する問題が疑われる状況です。
このような構造的な問題は、一時的な対症療法では根本的な解決が難しく、建築の専門家による詳細な診断と適切な修繕工事が必要となります。特に、古い建物や改修歴のある物件では、見えない部分での劣化や損傷が蚊の繁殖を助長している可能性があります。
蚊の専門業者への相談が必要なケースその4:複数の部屋で同時に発生している場合
建物全体に及ぶ広範囲な問題である可能性が高く、各室個別の対策では不十分な状況といえます。
特にアパートやマンションなどの集合住宅においては、一部屋だけではなく建物全体での統一された対策アプローチが不可欠となります。
また、共用部分や建物周辺環境も含めた総合的な調査と、居住者全体での協力体制の構築が重要となってきます。このような場合、管理組合や管理会社との連携も必要となることがあります。
蚊の専門業者への相談が必要なケースその5:季節を問わず継続的に発生している場合

通常、蚊は季節性の強い昆虫であり、その活動には明確な周期性が見られます。
しかし、年間を通じて継続的に発生が確認される場合、建物内に安定した繁殖環境が形成されている可能性が極めて高いと考えられます。
このような状況では、建物の構造的な問題や排水システムの重大な不具合など、根本的な原因の特定と抜本的な対策が必要となります。特に、温度や湿度が安定している建物内部での越冬個体の存在も考慮に入れた、専門的な調査と対策が求められます。
季節別 蚊の対策ポイント

季節に応じた適切な対策を実施することで、より効果的な蚊の防除が可能となります。各季節特有の気候条件や蚊の活動パターンを理解し、それに合わせた予防・対策を行うことで、より確実な効果が期待できます。以下、季節ごとの重要なポイントをご紹介いたします。
季節別 蚊の対策ポイント:春季(3-5月)
越冬した成虫の活動開始に備え、建物周辺の環境を徹底的に整備します。特に暗く湿った場所や、建物の隙間、排水溝周辺などの潜伏しやすい場所を重点的にチェックし、必要な清掃や修繕を行います。これらの場所は冬季に蚊が休眠状態で過ごすことが多く、春季になると活動を再開する可能性が高いため、入念な点検と対策が必要不可欠です。
水たまりや産卵場所になる水がある場所の点検、排水対策
蚊の繁殖場所となりやすい水たまりや湿潤箇所を早期に特定し、速やかに対処することが重要です。植木鉢の受け皿、雨どい、建物周辺の窪地など、水が溜まりやすい箇所を重点的に点検し、必要に応じて改善措置を実施します。特に、融雪や春の長雨による水たまりは、蚊の産卵場所として理想的な環境となるため、定期的な見回りと排水対策が欠かせません。
蚊の潜伏先になる草むらをなくすための除草作業
建物周辺の草むらや藪の除草作業を徹底的に行い、蚊の休息場所となる環境を排除します。
特に日陰となる場所や湿気の多い箇所は優先的に処理し、定期的な管理を行うことで、蚊の生息適地を最小限に抑えることが重要です。また、除草後は刈り取った草を速やかに処分し、放置することで新たな蚊の隠れ家とならないよう注意が必要です。
網戸のゆがみ・やぶれ点検と補修
網戸の破損や歪みを入念にチェックし、必要な修繕を実施します。特に開閉部分や四隅の劣化状態を確認し、小さな破れや隙間も見逃さないよう注意深く点検を行います。網戸は蚊の侵入を防ぐ最前線の防衛手段となるため、春季の使用開始前に全ての窓やドアの網戸について、フレームの歪みやメッシュの損傷がないかを慎重に確認することが推奨されます。
季節別 蚊の対策ポイント:夏季(6-8月)
最も活動が活発な時期となるため、屋内外での包括的な対策を徹底的に強化する必要があります。特に日中の活動時間が長くなり、繁殖速度も大幅に上昇するため、より慎重かつ継続的な監視体制の構築と、状況に応じた柔軟な対策の実施が不可欠となります。また、この時期は蚊の活動範囲も広がるため、建物全体を視野に入れた総合的な対策アプローチが求められます。
建物周辺の水たまりの点検、除去
天候の変化や降雨後は特に注意が必要で、建物周辺の水たまりを定期的にチェックし、発見次第速やかに除去することが重要です。特に植木鉢の受け皿や雨どい、建物の窪みや凹部など、見落としやすい場所も含めて、きめ細かな点検を実施します。
また、降雨後24時間は特に注意深い観察が必要で、新たな水たまりの形成にも警戒が必要です。排水状況も併せて確認し、滞留している箇所があれば適切な処置を行います。
虫除けスプレーや蚊取り線香などの防虫用品を効果的に活用
虫除けスプレーや蚊取り線香などの防虫用品を効果的に活用し、玄関や窓周りなど侵入経路となりやすい場所での対策を徹底します。これらの防虫用品は、使用時間帯や設置場所を考慮して最適な効果が得られるよう配置します。また、網戸の定期的な点検と修繕も欠かさず行い、破損や歪みがある場合は速やかに対処します。
特に網戸の四隅や開閉部分は劣化しやすいため、入念なチェックが必要です。
さらに、玄関周りや共用部分など、建物の出入り口となる場所での物理的な侵入防止策も強化し、複数の対策を組み合わせることで、より確実な予防効果を目指します。
季節別 蚊の対策ポイント:秋季(9-11月)
越冬前の成虫対策として、建物内外の暗所や湿気の多い場所を徹底的に点検し、成虫の潜伏場所となりうる環境を特定・改善します。特に物置や倉庫、地下室などの普段使用頻度の低い場所は入念なチェックが必要です。また、これらの場所では温度と湿度が比較的安定しているため、蚊が冬季を越えやすい環境となっています。そのため、換気や除湿対策も併せて検討することが効果的です。
雨どいや排水溝などの水たまり箇所の清掃と点検
落ち葉による水たまり防止のため、定期的な清掃と排水溝の点検を実施します。特に雨どいや排水溝周辺は落ち葉が堆積しやすく、水はけを悪くする原因となるため、こまめな清掃と適切な排水環境の維持が重要です。落ち葉は腐敗することで有機物を生成し、微生物の繁殖を促進する可能性があります。そのため、清掃時には落ち葉だけでなく、堆積した有機物も完全に除去することが推奨されます
建物の隙間を防ぎ外壁のひび割れや基礎部分の隙間、配管周りの穴などを確認
建物の隙間封鎖作業を実施し、外壁のひび割れや基礎部分の隙間、配管周りの穴などを入念にチェックします。これらの箇所は蚊の越冬場所として利用される可能性が高いため、適切な材料を用いて確実に封鎖することが推奨されます。特に、配管やケーブルの貫通部分、建物の継ぎ目、窓枠周りなどは見落としやすい場所となっているため、専門的な目線での点検が必要です。また、封鎖材料は耐候性や耐久性の高いものを選択し、定期的な点検と補修を行うことで、長期的な効果を維持することができます
季節別 蚊の対策ポイント:冬季(12-2月)
蚊は体温を調節できない変温動物のため、幼虫の発育も成虫の飛翔や吸血活動も気温に大きく影響されます。気温が10℃よりも低いときには活動はできません。実際に、ヒトスジシマカは卵の状態ですごし、アカイエカは活動を停止した成虫の状態で越冬します。
しかし、チカイエカは屋内の生活に適応した蚊で、冬でも休眠せずに、気温20℃前後の条件が満たされた建物の内部であれば1年中繁殖し、吸血・産卵を行います。
チカイエカは、その名の通り、都市部の地下にできた水溜まりに発生する蚊として有名です。ビルの地下浄水槽などで発生して問題になることが多いですが、公園や道路わきの雨水マス、排水溝など地表にある水溜まりにも発生します。
排水管や排水溝、トラップなどの清掃を徹底的に行い、水回りの環境を整備
排水管や排水溝、トラップなどの清掃を徹底的に行い、春を迎える前に水回りの環境を整備します。この際、排水管内部の堆積物や汚れを完全に除去し、水はけの良い状態を確保することが重要です。また、凍結による配管の損傷がないかも併せて確認し、ひび割れや接続部の緩みなど、気温の低下による影響を詳細にチェックし、必要な修繕を行います。特に地下や北側に位置する配管は凍結のリスクが高いため、重点的な点検が必要です。
まとめ
蚊の対策で最も重要なのは、発生源の特定と除去です。日常的な予防策と適切な環境管理を組み合わせることで、効果的に蚊の発生を防ぐことができます。また、必要に応じて専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることも重要です。
快適な住環境を維持するためには、家主・管理会社・入居者が協力して、継続的な対策を実施することが不可欠です。本記事で紹介した対策を実践し、蚊のいない快適な住環境を目指しましょう。
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