はじめに
ガスは私たちの生活に欠かせないエネルギー源ですが、同時に適切な管理と注意が必要です。
ガスのトラブルは、小さな不具合から生命を脅かす危険な状況まで、様々な形で発生する可能性があります。
本記事では、一般的なガスのトラブルのなかでもガスが出ない症状に関してピックアップして原因や対処方法についてご説明します。
この記事はガスのトラブルの対処法と予防策を解説を簡潔にしたコラム記事です。
様々なトラブル・原因・対処法について知りたい方はそちらの記事をご確認ください。
ガスが出ない主な原因
ガスが出ない主な原因その1:プロパンガスボンベの残量不足
特にプロパンガスを使用している家庭で多く見られる問題です。
プロパンガスボンベ内のガス残量が一定以下になると、安全装置が作動してガスの供給が自動的に停止します。
これは、不適切な燃焼や事故を防ぐための重要な機能です。お使いのガス会社に連絡し、ガスボンベの交換をお願いしましょう。
ガスが出ない主な原因その2:ガスメーターの故障
ガスメーターは、ガスの使用量を正確に測定し、安全に供給を制御する重要な装置です。
経年劣化や外部からの衝撃、電気的な問題などにより故障することがあります。
また、地震などの衝撃がありメーターが正常に機能しない場合、安全のためにガスの供給が遮断されることがあります。
ガスメーターの状態を確認し、遮断されている場合は復帰ボタンを押して復帰作業を行うと使用ができる場合があります。復帰ボタンを押しても遮断されている場合はガス会社に連絡し、修理を依頼しましょう。
ガスが出ない主な原因その3:給湯器の配管の詰まりや凍結
寒冷地では、配管内の水分が凍結してガスの流れを阻害し出にくくなることがあります。これは特に、外部に露出した配管や、断熱処理が不十分な配管で起こりやすい問題です。
また、長期間使用していない配管内にゴミや異物が蓄積し、ガスの流れを妨げることもあります。
ガスが出ない主な原因その4:ガスの元栓が閉まっている
これは意外と多い原因の一つです。地震や安全点検の際に閉められたガスコックが、そのまま開かれていないケースがあります。
また、遠出をした際に安全のために閉め、そのままうっかり忘れてしまうこともあります。
ガスの元栓が閉まっていないか確認し、必要に応じて開けて使いましょう。
ガスが出ない主な原因その5:ガスバーナーのキャップがずれている、浮いている
ガスバーナーのキャップがずれていたり、浮いていたりすると、コンロが正常に燃焼しなかったり、点火しにくくなることがあります。
バーナーキャップを正しく位置付けるには、次の手順に従います。
- バーナーキャップを回して、止まるところに設置し直します。
- 点火プラグの位置にあわせて置きます。
- 取り付けた後に傾き、浮きなどがないか確認します。
- 炎が正しく出ているか点火及び火力調整して確認します。
また、バーナーキャップの目詰まりや炎検知部(立消え安全装置)・点火プラグが汚れている場合も同じ症状が発生することがあります。
汚れは、やわらかい歯ブラシやつまようじで取り除いたあと、台所用中性洗剤で丸洗いします。
ステンレス製のバーナーキャップのお手入れには、ステンレス専用クリーナーがおすすめです。
ガスが出ない主な原因その6:ガス圧力の低下
ガスの供給元での問題や、配管網の一部での漏れにより、ガスの圧力が低下することがあります。これにより、末端の家庭でガスが十分に供給されない状況が発生する可能性があります。
ガス会社に連絡し、点検修理を依頼しましょう。
ガスが出ない主な原因その7:コンロなどのガス器具の故障
コンロや給湯器などのガス器具自体に問題がある場合、ガスは来ているにもかかわらず使用できないことがあります。点火装置の故障や、安全装置の誤作動などが原因として考えられます。
たとえば、ガスコンロの点火プラグは、点火スイッチを押すことでガスバーナー部から出てくるガスに火花を飛ばして火を点ける機能がありますが、ガスコンロの点火プラグの汚れや曲がりが原因で点火しない、火が消えてしまう、 炎が安定しなくなってしまいます。
点火プラグの汚れや曲がりを解消するには、次のような方法があります。
- 点火プラグの汚れは、薄めた台所用中性洗剤を含ませた布やスポンジで拭き取ります。
- 点火プラグが曲がっている場合は、軽くなるように注意して元の真っすぐな状態に戻します。
ただし、10年近く使用しているガスコンロは他の部品も劣化している可能性があるため、場合によっては本体の交換が必要になります。
ガスが出ないときの対処法
ガスが出ない問題に直面した場合、安全を最優先に考え、以下の手順で慎重に対処することをお勧めします。いずれの場合も、修理や点検は専門業者に依頼することが推奨されます。また、原因と対応策については、専門業者との相談が必要です。
ガスが出ないときの対処法その1:ガスボンベの残量を確認し、必要に応じて交換する
プロパンガスの場合、ボンベの重さを手で持ち上げて確認するか、供給会社に連絡して残量を確認しましょう。多くの場合、供給会社が定期的に残量をチェックし、自動的に交換を行いますが、使用量が急に増えた場合などは予定より早くなくなることがあります。
ガスが出ないときの対処法その2:ガスメーターとガスコックの状態を確認する
まず、ガスメーターの表示を確認します。正常に動作しているか、エラーメッセージが表示されていないかをチェックします。次に、メーターから各ガス器具までのすべてのガスコックが開いているか確認します。閉まっている場合は慎重に開けてみましょう。ただし、ガス臭がする場合は絶対に開けないでください。
ガスが出ないときの対処法その3:配管の状態を確認する
目視で確認できる範囲で、配管に損傷や凍結の兆候がないか確認します。
給湯器の配管が凍結した場合は、次の手順で対処しましょう。
- ガス給湯器のリモコンの運転スイッチをオフにする
- 台所などの蛇口を少し開ける
- 凍結していると思われる配管や給水元栓の周りにタオルを巻く
- タオルに人肌程度(30~40℃)のぬるま湯をゆっくりかける
- 水が流れるようになったら、家の中の給湯栓を閉める
- タオルを外し、給水元栓の周りについた水を乾いた布で拭き取る
凍結の主な原因は、気温の低下と、水が流れていないことです。外気温が0℃以下になると給湯器本体や水道管が冷え、配管内にある水が凍ってしまいます。夜間や長期間使用しないときなどは給湯器の水抜きをおこなったり水道管の水を少量出し水が流れ続ける工夫をするとよいでしょう。
また、給湯器には凍結予防ヒーターが装備されており、外気温が下がると自動的に配管を保温して凍結を防止する機能がついているものもあります。
ただし、配管に直接触れることは危険な場合があるため、専門家に相談することをお勧めします。
ガスが出ないときの対処法その4:ガス器具の接続を確認する
各ガス器具とガス栓の接続部分を点検します。ガスホースに亀裂や劣化がないか、接続部分に緩みや損傷がないかを慎重に確認します。古くなったホースは定期的に交換する必要があります。
あわせてガスコンロ部品の確認をしましょう。ガスバーナーキャップの位置を調整し、点火プラグの状態を確認します。
ガスが出ないときの対処法その5:周辺地域の状況を確認する
近隣住民にも同様の問題が発生していないか確認してみましょう。地域全体でガスの供給に問題がある可能性もあります。その場合は、ガス会社に問い合わせるのが最適な対処法です。
ガスが出ないときの対処法その6:ガス会社のサポートサービスを利用する
ガス会社の多くは24時間対応のサポート窓口を設けています。
問題の内容を詳しく説明し、適切なアドバイスを求めましょう。場合によっては、技術者の派遣を依頼することも可能です。
自分で対処できない場合や、原因が不明な場合は、迷わず専門業者やガス会社に連絡する
安全のため、専門家による点検と修理を受けることが重要です。特に、ガス臭がする場合や、配管に明らかな損傷がある場合は、絶対に自分で修理しようとせず、即座に専門家に連絡してください。
ガスに関する問題は安全性に直結するため、自己判断での修理は避け、疑問がある場合は必ず専門家に相談しましょう。定期的な点検と適切な使用方法を心がけることで、多くのガストラブルを予防することができます。
また、ガス器具の取扱説明書をよく読み、正しい使用方法を理解しておくことも重要です。家族全員がガスの安全な使用方法と緊急時の対応について理解していることを確認し、定期的に安全対策についてご家族で話し合うのも良いでしょう。
ガストラブルを防ぎ安全に使うためのポイント
ガスを安全に使うポイントその1:ガス器具の定期的な点検と専門家による保守点検
少なくとも年に1回はガス会社や専門業者による点検を受け、器具の劣化や不具合を早期に発見し、対処することが重要です。
定期的に使用しているガスコンロなどの汚れを落としたり点火プラグのチェックを行いましょう。
ご家庭のなかでもこまめな手入れと定期的な点検を行うことでより安全に利用することができます。
ガスを安全に使うポイントその2:ガス配管周りの整理整頓
ガスの配管に物が接触したり圧力がかかったりすることで、ガス漏れや配管を損傷するリスクが高まります。ガス会社が定期点検しやすくガスメーターの復旧や使用しないときのガスの元栓の開け閉めがスムーズに行えるよう、ガスメーターやガスの配管周囲は常に清潔で障害物のない状態を保ちましょう。
ガスを安全に使うポイントその3:適切な換気の徹底
ガス器具使用時は必ず換気扇を回すか窓を開けるなどして、十分な換気を行います。
これにより、不完全燃焼による一酸化炭素中毒やガスを吸い込んだことによる酸素欠乏症などのリスクを大幅に低減できます。
使用中に気分が悪くなった場合には中止し、匂いのしないところに避難し安静にして過ごしましょう。
ガスを安全に使うポイントその4:就寝前と外出時のガス栓確認習慣化
寝る前や家を出る際には、すべてのガス器具の栓が確実に閉まっているか必ず確認する習慣をつけましょう。この簡単な行動がガス漏れなどの大きな事故を防ぐ鍵となります。
ガスを安全に使うポイントその5:ガス臭への迅速かつ適切な対応
少しでもガス臭を感じたら、すぐに以下の手順を踏みましょう。
- まず、すべての火を消し、電気製品の使用も直ちに中止します。ガスコンロやファンヒーターなどの火気はもちろん、電気スイッチや照明など、火花を発する可能性のあるものすべての使用を控えます。
- 窓や扉を大きく開けて徹底的に換気を行います。可能であれば、複数の窓を開けて空気の流れを作り、効率的に室内の空気を入れ替えます。ただし、換気扇の使用は火花発生の危険があるため、専門家の指示がない限り避けましょう。
- 建物のガスメーターにあるメインのガスコックを確実に閉めます。普段からガスメーターの場所を確認しておき、緊急時にすぐに対応できるようにしておくことが重要です。ガスコックを閉める際は、静電気による火花を防ぐため、金属部分に触れてから操作することをお勧めします。
- 安全な場所に速やかに避難し、すぐにガス会社の緊急連絡先に状況を詳しく報告し、適切な指示を仰ぎます。避難する際は、エレベーターの使用を避け、階段を使用してください。また、周囲の人々にも危険を知らせ、避難を呼びかけましょう。ガス会社への連絡の際は、自分の名前、住所、現在の状況を落ち着いて正確に伝えることが重要です。
家族全員がガスを安全に使うように確認を
家族全員がガスの安全な使用方法と緊急時の対応手順を理解していることが重要です。
定期的に家族で、ガス器具の点検や安全対策を確認し合いましょう。
ガス漏れに素早く気付くために、ガス漏れ警報器の設置がおすすめ
ガス漏れに早急に対応するために、ガス漏れ警報器の設置も強くお勧めします。これらの装置は、微量のガス漏れでも素早く検知し、警報を発することで、大きな事故を未然に防ぐことができます。警報器は定期的に点検し、電池切れや故障がないことを確認しましょう。
ガス警報器はガス会社やECサイトから自分で購入できますが、ガス警報器には5年間の有効期限があります。有効期限が切れてしまうと検知機能が低下したり誤作動が発生したりして、いざという時に正しく作動しない可能性があります。
ガス警報器の設置場所:
都市ガス用ガス警報器
燃焼器から水平距離8m以内警報器の下端が天井面より15〜30cm以内の位置
プロパンガス用ガス警報器
燃焼器(建築基準法ではガス栓)から水平距離4m以内床面から警報器上端までの高さ30cm以内の位置
ガス警報器を選ぶポイント
購入する際は、「KHKマーク」や「JIAマーク」が付いている製品を選ぶといいでしょう。
KHKマークは、危険物保安技術協会の認可を受け、消防法の定める基準に適合していることを意味します。JIAマークは、日本ガス機器検査協会の検査基準に適合した製品に与えられるマークのことです。
これらのマークが付いている製品は一定の基準をクリアしているため、安全性が高いと考えられます。
ご自宅でガス警報器の有効期限が切れた場合は、報知器が正しく稼働せず検知しない可能性があるため速やかに交換してください。
ガスのトラブルはガス会社か専門家への相談を
ガスのトラブルは、単なる不便さにとどまらず、ガス爆発や火災といった重大な事故につながる可能性があり、極めて危険です。このような事態の重大性を考慮すると、ガスに関する問題を自己判断で処理することは絶対に避けるべきです。たとえ小さな異常や不具合だと感じても、必ず専門のガス会社に連絡し、適切な対応を仰ぐことが重要です。
ガス漏れは、一酸化炭素中毒や爆発事故など、生命に直接関わる危険性をはらんでいます。そのため、ガス漏れの疑いがある場合は、決して慌てず、冷静に行動することが大切です。まずは深呼吸をして落ち着きを取り戻し、本ページで説明した対処法を一つずつ確実に実行してください。そして、速やかに専門のガス会社に連絡を取り、状況を詳しく説明し、その後の指示を仰ぐようにしましょう。専門家の指示に従うことで、自身と周囲の安全を最大限に確保することができます。
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