エアコンの内部クリーン機能は、冷房や除湿の運転後にエアコン内部を乾燥させることで、カビや菌の繁殖を抑える便利な機能です。しかし、内部クリーンを使用してもエアコンの嫌な臭いが発生してしまうことがあります。なぜそのような臭いが発生するのか、原因と対策を総合的にまとめました。
エアコンが放つ臭いはカビやホコリ、その他さまざまな汚れが原因となることが多いです。日常的な清掃や正しい内部クリーンの使い方を知ることで、臭い問題の多くは防ぐことができます。さらに症状がひどい場合には、プロのクリーニングを利用することにより根本的な改善も期待できるかもしれません。

エアコンの内部クリーンとは?仕組みと期待できる効果
まずは、内部クリーン機能の具体的な仕組みや効果、そしてお掃除機能付きエアコンとの違いなどを確認しておきましょう。
エアコンの内部クリーン機能は、冷房や除湿によってエアコン内部にたまった水分を乾燥させ、カビや菌の発生を防ぐ役割を持ちます。具体的には、運転終了後に送風や弱い暖房を行い、熱交換器や送風ファンについた水分を蒸発させる仕組みです。この機能をうまく使うことで、効率悪化の原因にもなるカビや汚れの付着を減らすことができます。ただし、湿度が高い環境下では十分に乾燥しきれず、運転中ににおいを感じる場合もあるため注意が必要です。
内部クリーン機能の仕組み
内部クリーン機能は、冷房や除湿の運転後にエアコンの内部をできるだけ乾燥させるための特別な運転モードです。冷房運転では熱交換器に冷たい空気を通すため結露が発生しやすく、放置するとカビや菌が繁殖する原因となります。内部クリーンでは送風や弱暖房を利用し、結露水を蒸発させることでエアコン内部を清潔に保つことを目指しています。
内部クリーン機能でもとりきれない汚れがある?
熱交換器やファン、ダクトの奥にはホコリや油汚れが堆積しやすく、内部クリーン機能だけでは完全に取り除けない場合があります。特にキッチン近くに設置されたエアコンでは油汚れがつきやすく、臭いにつながるケースも少なくありません。定期的にフィルターや吹き出し口を掃除するだけでなく、気になるときは専門業者による分解洗浄を検討する必要があります。
内部クリーンのメリットとデメリット
メリットとしては、手軽にカビやニオイの発生を抑えられることや、運転効率の低下を予防できることが挙げられます。一方で、内部クリーン運転を行う時間が増えるため、電気代が多少上がる可能性があります。また、内部クリーン中にカビやホコリがにおいとして部屋に出ることがあり、その際には部屋の換気をしながら運転するのが望ましいでしょう。
お掃除機能付きエアコンとの違い
お掃除機能付きエアコンは、フィルターのほこりを自動でかき出す仕組みが搭載されているモデルを指します。内部クリーン機能の主な目的が内部の乾燥やカビ抑制であるのに対し、お掃除機能付きエアコンはフィルター掃除の手間を軽減する点に重点を置いています。どちらの機能もエアコンを長期間清潔に保つために役立ちますが、働きかける範囲が異なることを理解しておくとよいでしょう。
お掃除機能付きエアコンのメリット
お掃除機能付きエアコンは、フィルターの清掃作業を自動化してくれるため、忙しい人でも常に一定の清潔状態を維持しやすい利点があります。フィルターにほこりが積もりにくくなることで、冷暖房効率の低下を抑え、電気代の無駄を減らす効果も期待できます。また、フィルター清掃が整っていることで空調性能が安定し、エアコン内部を汚しにくくするメリットもあります。
お掃除機能付きエアコンの注意点・デメリット
お掃除機能付きエアコンは内部構造が複雑で、本体価格が通常のエアコンより高くなる傾向があります。また、万一故障した場合の修理費用も高額になりやすく、部品の交換が必要なときには費用面で負担が大きくなるかもしれません。お掃除機能はフィルターのほこりを取り除くことが主な目的のため、熱交換器やファンの奥まった汚れに対しては効果が薄い点にも注意が必要です。
内部クリーン運転にかかる時間や電気代
内部クリーン運転にかかる時間は機種や外気温、湿度によって異なりますが、10分から30分程度の運転が一般的とされています。加えて、運転中は送風や弱暖房により若干の電力消費が発生し、冷房だけの時よりも電気代がわずかに上がる可能性があります。ただし、カビ発生を未然に防ぐ効果が期待できることを考慮すると、結果的にエアコンの効率低下や大掛かりな掃除を減らせるため、長期的なコスト削減に役立つでしょう。
内部クリーン運転の頻度は?
内部クリーンの運転頻度は、冷房や除湿をどの程度使うかによって異なります。梅雨や夏場など冷房を頻繁に使う時期は、カビの繁殖を抑えるためにもこまめに内部クリーンを実施するほうが効果的です。また、部屋の環境によっては送風運転や外気の取り入れと併用することで、更にカビや臭いの予防効果を高めることができます。
内部クリーン運転でも部屋が臭う6つの原因
内部クリーン機能を使っているにもかかわらず、エアコン周辺から嫌な臭いがする場合には、以下のような原因が考えられます。
内部クリーンをきちんと実施していても、エアコンの構造自体が湿気をため込みやすい場合や、既に汚れが深く入り込んでいる場合は原因を除去しきれないことがあります。また、エアコンを使う頻度や部屋の換気状況によってもにおいの程度が変わるため、まずは具体的にどこに問題が潜んでいるかを把握することが大切です。ここからは、主な6つの原因に分けて詳しく見ていきます。
原因1:エアコン内にカビや菌が繁殖している
エアコン内部は、冷房や除湿の際に結露が発生しやすいため、放置するとカビや菌が急速に増殖します。特に熱交換器や吹き出しファンの周辺は湿度が高くなりやすく、そこに生えたカビが運転とともににおいを放ちます。内部クリーン機能があっても長時間湿気が残る場合は、カビが完全に死滅せずにおいの原因となりやすいです。
原因2:ホコリやチリが蓄積している
エアコンのフィルターやファン、送風路にホコリやチリが蓄積すると、運転時にこれらの汚れが室内へ飛ばされ、独特の嫌な臭いを感じることがあります。内部クリーン機能ではホコリまで完全に取り除けない場合もあるため、定期的なフィルター清掃やエアコンカバーの拭き取りが欠かせません。部屋のハウスダストを減らすために掃除機と併せて室内の換気をこまめに行うことも効果的です。
原因3:キッチンの油汚れやタバコのヤニ汚れ
キッチンでの調理時に発生する油や、タバコを吸う環境で出るヤニなどがエアコン内部に入り込むと、空気中の水分や熱と結びつき、強いにおいの原因となります。周囲にオイルミストが舞いやすい環境の場合は、とくにファンや熱交換器の奥まで油汚れが蓄積されがちです。内部クリーンだけで落としきれない場合は、専門業者による洗浄で奥までキレイにしてもらうことが有効です。
原因4:ペットの毛や汗などの汚れの付着
エアコンをつけっぱなしにしている家庭でペットを飼っている場合、ペットの毛や汗、皮脂成分がエアコン内部に取り込まれます。これらが結露した水分やホコリとともに付着すると、時間が経つにつれにおいが強くなることがあります。日頃からこまめにペット周辺の掃除を行い、同時にエアコンのフィルターケアを行うことで、ペット由来の不快なにおいを大幅に抑えられます。
原因5:購入直後の樹脂や内部材料のニオイ
新品のエアコンを使い始めた際、プラスチック成分や内部に使われている接着剤などが熱によって揮発し、独特の化学臭を放つ場合があります。これは製造過程で使われる部品の特性上、ある程度の運転時間が経つと徐々に収まっていくのが一般的です。内部クリーン運転を行うことで一時的ににおいが拡散されやすいので気になる場合は換気を合わせて行うと効果的です。
原因6:内部クリーンによる温度・湿度変化の影響
内部クリーン運転中は、送風や弱暖房で温度や湿度が変動するため、エアコン内部や室内のにおい分子が動きやすくなり、かえってにおいを強く感じてしまうことがあります。特に締め切った部屋で内部クリーン運転を行うと、においがこもりやすくなるので注意が必要です。運転中や終了後に短時間でいいので換気を行い、室内の空気を入れ替えるようにすると、においを軽減しつつカビ対策にもつながります。
新品のエアコンでも内部クリーンで臭いが発生する理由
購入後間もないエアコンでも、内部クリーン運転を行うと臭いが発生する場合があります。その原因を整理してみましょう。
エアコンを購入したばかりなのに臭いが気になる場合、工場出荷時の油分や樹脂などの成分が熱で揮発している可能性があります。内部クリーン運転は乾燥を促す一方で、においの元となる揮発成分を拡散させやすい側面もあるため、部屋全体に臭いが回ることがあるのです。ここでは新品特有のにおいが発生する主な要因を確認し、必要に応じて回避策を検討してみましょう。
組み立て直後の残留物質が気化する可能性
エアコンの内部には、製造段階で使用される潤滑油や溶剤、樹脂などの化学物質が微量に残留する場合があります。これらが運転時の熱や風により気化して臭いとして感じられることがあり、新しいうちは特有の匂いに敏感になる方もいるでしょう。とはいえ、多くの場合はエアコンを使っていくうちに徐々に薄れていくため、あまりに長期間強い臭いが続く場合はメーカーや販売店に相談すると安心です。
設置環境による汚れの混入によるリスク
新しいエアコンを設置する際に、外気や室内のホコリ、汚れが内部に入り込むことで早期に臭いが発生するケースも考えられます。特に取り付け工事の途中で生じる粉塵や、周囲の環境に漂う油分が入り込みやすいと注意が必要です。購入して間もないのにエアコンの臭いが気になる場合は、設置時にしっかりと清掃が行われたかを確認し、不具合があれば早急に対処するようにしましょう。
エアコンの臭いを抑えるために自分でできる対策・予防法
エアコンのイヤな臭いを予防・軽減するために、日常的に取り組めるセルフケアの方法を紹介します。
自分でできる範囲の対策をこまめに行うだけでも、臭いトラブルを大幅に減らせることがあります。特に、フィルター掃除や換気などを習慣化することでホコリやカビの発生を抑え内部クリーンの効果を高めることが可能です。以下の具体的な方法を参考にして、エアコンをより長く、清潔に使えるように工夫してみましょう。
送風運転や除湿機能を活用して内部を乾燥させる
冷房や除湿運転を使用した後、そのままエアコンの運転を止めてしまうと内部に残った水分がカビや菌を育てやすくします。そこで、しばらく送風運転や除湿機能を使って内部を乾燥させると、においの元である湿気を減らす効果が得られます。また、合わせて室内も換気することで余分な湿気を追い出し、エアコン内部のカビ繁殖リスクを低減できるでしょう。
フィルターや吹き出し口のこまめな掃除
フィルターに溜まったホコリや吹き出し口の汚れは、エアコンの風に乗って部屋中に広がりやすく、においの原因にもなります。週に一度はフィルターを取り外して掃除機で吸い取り、濡れ布巾で拭くなどの定期的なメンテナンスを行いましょう。吹き出し口やルーバー部分も軽く拭き取っておくと、不快なにおいと同時にエアコンの運転効率の低下も予防できます。
冷房16度・暖房30℃運転で消臭?
エアコン内部にたまったにおいの原因を短時間でいったんリセットしたい場合、最大冷房や最大暖房の運転が有効といわれています。温度差を一気に作り出すことで熱交換器やファンの表面に付着したカビや汚れをある程度取り除く効果が期待できます。ただし、あくまでも応急処置的な方法であり、根本的な掃除や専門業者による洗浄を行わないと改善しきれない場合もある点には留意が必要です。
冷房16度・暖房30度運転のやりかた
最初に数分間、冷房を16度に設定してエアコンを稼働させ、次に暖房30度に切り替えてしばらく運転を続けるだけで対策が完了します。ただし、外気温との兼ね合いもあるため無理に冷やしすぎたり温めすぎたりしないように短時間で実施することがポイントです。運転終了後には換気とフィルター掃除を合わせて行うと、より高い消臭効果が得られるでしょう。
市販の洗浄スプレーを使う際の注意点
市販されているエアコン洗浄スプレーは手軽ににおい対策を試せる一方で、機種によっては使用が推奨されていない場合もあります。内部の電子部品や配線に液がかかると故障の原因になることがあり、汚れを奥に押し込んでしまって逆効果になるリスクも否定できません。必ず取扱説明書や製品の注意書きを読み、適切な箇所と方法で使用するようにしてください。
定期的な換気と室内の清掃で汚れを防ぐ
室内にホコリや油汚れが多いほど、エアコン内部にそれらが吸い込まれやすくなり、においの原因が増える結果になります。日常的に掃除機がけや拭き掃除を行い、少なくとも一日に一度は短時間でも窓を開けて換気する習慣をつけましょう。室内環境を清潔に保つことは、エアコンの内部クリーン機能によるにおい対策をより効果的に補強してくれます。
専門業者に依頼するメリットと費用相場
ニオイやカビなど、セルフケアでは対応が難しい場合にはエアコン洗浄のプロに依頼するのも手段の一つです。
内部クリーン機能や自己流の掃除で改善しない強いにおいや、長期間メンテナンスしていないエアコンの徹底洗浄などは、専門業者に任せると効果が高いです。分解洗浄で隅々まで洗浄することで、熱交換器やファンに付着したカビや汚れを根本から取り除き、快適な冷暖房性能を取り戻すことができます。料金は業者や地域によって異なるため、事前の見積もりや口コミ確認がポイントです。
壁掛けタイプ・お掃除機能付きエアコンの料金目安
一般的なエアコンの壁掛けタイプのクリーニングであれば、1万円前後から1万5千円程度が相場となることが多いです。お掃除機能付きエアコンは分解が複雑なため、2万円以上の費用がかかるケースもあります。隠れた部分までしっかり洗浄することで、カビや菌によるにおいを大きく軽減できるのが専門業者依頼の最大のメリットです。
室外機洗浄や抗菌コートなどのオプション費用
エアコンのにおいの原因として見落としがちなのが室外機の汚れです。室外機にもホコリやカビがたまると冷暖房効率が低下し、エアコン内部の結露や汚れにも影響を与えます。抗菌コートは、洗浄後にエアコン内部にコーティング剤を吹きかけるサービスで、カビや菌の再繁殖を抑える効果がありますが、その分の追加費用が発生するため、事前に見積もりを取る際に確認しましょう。
依頼前に確認すべき口コミや作業内容のポイント
業者によっては作業範囲や使用する洗剤、分解レベルに差があり、料金に含まれるサービス内容も異なります。事前に口コミサイトなどで評判をチェックし、作業の詳細や追加費用の有無を確認すると安心です。また、エアコン内部の電子部品をしっかり保護しながら洗浄してくれるかも重要なポイントなので、電話やメールで疑問点を相談し、納得できる業者を選ぶようにしましょう。
まとめ:内部クリーンでエアコンを清潔に使うためのポイント
エアコンを快適に使い続けるためには、内部クリーン機能を正しく使い、日常的なケアや必要に応じた専門業者への依頼を検討することが大切です。
内部クリーン機能は、湿気を減らしカビの発生を抑える上で非常に有効ですが、全ての汚れや臭いの元を解消できるわけではありません。フィルター清掃や換気などのセルフケアをこまめに行うことで、エアコン内部クリーンの効果を高めることができます。また、強いにおいが取れない場合や長期間メンテナンスしていない場合は、専門業者に依頼して徹底的な分解洗浄を行うのがベストな選択です。日頃からのこまめな対策を習慣化しつつ、必要に応じてプロの知恵を借りることで、エアコンをいつでも清潔で快適に保つことができるでしょう。
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