地球温暖化や気候変動が著しい昨今、エアコンは夏の暑さや冬の寒さを乗り切るために不可欠な設備です。しかし長年使っていると、突然エアコンが故障してしまうことも珍しくありません。その際、修理費用や連絡先がよく分からず戸惑うオーナーも多いのではないでしょうか。
本記事では、賃貸物件でエアコンが故障した場合に取るべき連絡手順や修理費用の負担範囲、注意すべき契約上のポイントなどを整理して解説します。もし修理に時間がかかる場合には、賃料減額の交渉が成り立つ場合もあるため、その考え方についても触れます。
さらに、故障リスクを最小限にするための日頃のメンテナンス方法や、新しい物件を契約するときにエアコン設備を確認すべき理由もご紹介します。賃貸のエアコン故障で困らないよう、ぜひ参考にしてみてください。
エアコン故障の主な原因と症状
まずはエアコン故障の主な原因やトラブルの症状を把握し、適切な対処につなげましょう。
エアコンの故障は、長年の使用による経年劣化が大きな要因の一つです。内部の部品が摩耗したり、ホコリやカビが溜まってフィルターや熱交換器の働きが損なわれることで、冷暖房の効率が落ちる場合があります。また、入居者が誤った操作を続けていたり、室外機周辺に物を置いて通気が悪くなっているなどの使い方によるトラブルも考えられます。これらの原因を早めに把握し、症状が出た段階で迅速に対処することが重要です。
管理会社への連絡手順
エアコンが動かない、異音がするなどの故障を確認したら、まずは管理会社に連絡をするのが基本です。連絡先は契約書にも記載されていますが、緊急連絡先が別途指定されているケースもあるため、事前に把握しておくとスムーズです。勝手に業者を手配すると後述する費用負担の問題につながるため、まずは貸主側の方針を確認しましょう。
症状を整理して伝える準備
管理会社や工務店に連絡する前に、エアコンの故障症状を具体的にまとめておくと話が早いです。
例えば、いつから症状が出始めたのか、リモコン操作でどう反応するか、室内機や室外機から異音や異臭がするかなど、客観的な情報を事前に整理しておきましょう。
きちんとした情報を伝えることで、業者の対応が円滑に進む可能性が高まります。
突然の停止や異音
エアコンが急に止まってしまう場合、多くはブレーカーの問題や内部部品のモーターが故障しているケースがあります。
異音がする時には、ファンが当たっている音やモーターの劣化音など、さまざまな原因が想定されます。いずれの症状にせよ自力で修理するのは危険なので、早めに専門業者へ点検を依頼することが大切です。
冷房・暖房の効きが悪い
設定温度と実際の室温に大きな差がある場合、フィルターの目詰まりや室外機の冷却不良が疑われます。
特に夏場は室外機周辺の排気熱や直射日光で熱がこもり、冷房効率が低下することもあるため注意が必要です。ただし、古い機種にありがちなガス漏れやコンプレッサーの故障も原因になり得るので、状況に応じて管理会社に相談しましょう。
水漏れ
エアコンの室内機から水が滴る場合、ドレーンホースの詰まりや結露が主な原因です。
ホコリが詰まって排水がうまくいかないケースも多く、放置すると室内が水浸しになる恐れがあります。早めに対策を講じるためにも、管理会社や専門業者に連絡し、部品の点検・掃除や補修を行ってもらうことが重要です。
異臭
カビ臭や焦げ臭は、内部に溜まったホコリやカビ、あるいは電子部品の故障などが関係している可能性があります。
放置しておくと健康被害に繋がるリスクもあるため、気になる臭いを感じたら早期に点検を依頼するのが望ましいです。特に、焦げ臭い場合は電気系統のショートなど重大な故障が起きているかもしれないので、速やかな対応が必要でしょう。
故障かと思ったらまず確認すべき基本的なポイント
エアコンが動かない、あるいは調子が悪いと感じたら、まずは簡単なチェックを行いましょう。
エアコンが本当に故障しているのか、単なる設定ミスや電源トラブルなのかを区別するために、まずは基礎的な確認作業を行います。特にリモコンの電池切れやブレーカー落ちなどは、よくある原因ですが意外と見落とされがちです。こうした簡単なチェックを行っても改善しない場合は、管理会社に連絡を入れる段階だと判断して問題ありません。
ブレーカーや電源の状態チェック
エアコンがまったく動かない場合、まずブレーカーが落ちていないか確認しましょう。特に一度に複数の電化製品を使用した際に負荷がかかり、ブレーカーが落ちることがあります。また、コンセントがしっかりと差し込まれているか、延長コードを使っていないかも見直すことで、単純なトラブルの解決につながります。
リモコンや電池切れの確認
リモコンが反応しない場合、電池の寿命が切れている可能性があります。表示が薄くなっていたり、操作を受け付けなかったりする時は新しい電池に交換してみましょう。リモコン自体の故障もあり得るため、その場合は管理会社に相談し、必要ならばメーカーや修理業者に連絡を取ってもらいましょう。
フィルターの汚れや目詰まりの確認
エアコンの効きが悪いと感じる時に真っ先に疑うべきなのが、フィルターの汚れです。フィルターが目詰まりを起こすと空気の吸い込みが弱くなり、冷暖房の効率が落ちて電力消費も増える可能性があります。月に1回程度はフィルターを掃除するのが理想的ですが、こまめなチェックを習慣化しておくとトラブルを未然に防ぎやすいでしょう。
霜取り運転や室外機の状況チェック
冬場などに暖房運転中、霜取り運転に入ると一時的に外気温や製品仕様の影響でエアコンが止まることがあります。これは正常な動作なので、慌てて故障と判断しないように気をつけましょう。また、室外機周辺に障害物があったり、直射日光が当たって過度に熱がこもると機能低下につながるため、設置環境にも目を配ることが大切です。
エアコン修理時の責任範囲と費用負担
エアコン故障時の責任や修理費用の負担は、借主・貸主のどちらにあるかを正しく理解する必要があります。
賃貸契約においては、エアコンが「設備」として組み込まれている場合と前の入居者が置いていった設備である「残置物」として扱われる場合で費用負担が変わるケースがあります。一般的には、通常使用の範囲内で起きた故障であれば大家または管理会社が修理費用を負担し、借主の過失が明らかな場合は借主負担とされることが多いです。また、改正民法によって賃貸中の設備管理や原状回復の考え方が整理されているため、契約書の条文もあわせて確認しておきましょう。
借主の責任となるケース
入居者の誤った使い方や不注意による故障では、修理費用の一部または全部を負担しなければならない場合があります。例えば、水拭きで内部を濡らしてしまったり、著しくフィルターを放置して故障を招いたりすると、借主の過失が問われる可能性が高いでしょう。こうしたトラブルを避けるためにも、普段から正しい使い方と定期的なメンテナンスを心がけることが重要です。
過失や誤った使用による故障
エアコンの取扱説明書に反する使い方、または室外機の周辺に物を積み上げて通気を遮断していたなど、使用者の不注意が直接原因となる故障は借主の責任が生じやすいです。例えば、室外機に大量の水をかけて洗浄していたり、高温多湿な場所で誤って落下させてしまうなどの極端な事例もあります。こうした場合は修理費用を全額負担することもあり得るため、使用方法には十分注意しましょう。
エアコンが残置物扱いの場合
賃貸物件において、前の入居者が置いていったエアコンが残置物扱いとなるケースがあります。残置物として扱われるエアコンは、設備として保証されないことも多く、故障時の修理費用が借主負担となる場合があります。契約書や管理会社からの説明で、エアコンが設備扱いか残置物扱いかを事前にしっかり確認し、リスクを理解しておくことが重要です。
大家または管理会社が責任を負うケース
エアコンが物件の設備として設置されていた場合、通常使用による経年劣化での故障は基本的に貸主負担となることが一般的です。賃貸契約上「設備」に含まれるエアコンであれば、修理や交換の費用を大家が手配するケースが多いでしょう。修理期間中の代替機や賃料減額については、契約内容や管理会社との協議で決まる場合があります。
通常の経年劣化や故障が該当するケース
エアコンの耐用年数を超えた劣化や、部品の寿命による自然故障は貸主責任とされることがほとんどです。例えば、コンプレッサーが古くなって動かなくなったり、配管部分の老朽化で冷媒が漏れたといったケースが該当します。このような故障は借主による使用方法が原因ではないため、貸主側が修理費を負担するか、場合によっては新品交換を行います。
改正民法における原状回復義務や設備管理ルール
改正民法により、賃貸借契約の際に定められた設備管理の責任分担がより明確化されました。エアコンが物件の主要設備である場合、通常の損耗・経年劣化については貸主が修理を負担する傾向にあります。一方、入居者の故意や過失が認められる故障は、従来通り借主が負担するという考え方が基本です。
賃貸借契約書と国土交通省ガイドラインの確認
賃貸借契約書には、エアコンの扱いや修理負担などに関する条文が記載されていることが多いです。あわせて国土交通省のガイドラインも参考にすると、一般的な負担区分の考え方が把握できます。契約時に曖昧な記載がある場合は、不明点を明確にし、後々のトラブルを避けるためにも管理会社や大家と確認を取っておくことが大切です。
修理費用の目安と負担割合
エアコンの修理費用は、比較的軽度な場合でも数千円から数万円、コンプレッサーや基板の交換が必要な場合はさらに高額になることがあります。もし費用が高くなる場合は、本体ごと新しいエアコンに交換する方が長期的に見て得策となるケースも少なくありません。貸主と借主のどちらが負担するかは契約内容や故障原因によりますが、修理費用の相場や機器の経年を考慮して合理的な方法を選択することが望ましいでしょう。
エアコン修理の流れと留意点
エアコン修理は状況把握から業者手配、工事完了まで複数のステップを踏みます。
故障が疑われる段階で正確に症状を伝え、管理会社と連携して修理業者を手配してもらうのが一般的な流れです。シーズン中は修理が立て込むこともあるため、早めに動くことがポイントとなります。また、修理が延びる場合は、賃料減額などの対応が必要かどうかを検討することも視野に入れておくとよいでしょう。
状況確認と一次対応
エアコンが動かない、異音がするなどの問題が発生したら慌てずに症状を詳しく確認し、二次被害を防ぐためにも電源を切っておきます。例えば、水漏れを起こしていたらバケツや雑巾で対応し、床や壁を保護するなどの応急処置を行いましょう。こうした初動対応によって、修理可能な範囲や損傷の程度を最小限に抑えられることがあります。
修理業者の手配方法と注意事項
原則として管理会社や大家を通して修理業者を手配するのが賃貸のルールとしては無難です。自分で業者を勝手に呼んで修理した場合、修理費用の負担問題や不適切な修理による追加トラブルが発生する可能性があります。事前に管理会社に相談し、信頼できる業者に依頼してもらうことで、費用負担や質の面でトラブルを最小限に抑えられます。
入居者との連絡調整
修理の日程や立ち合いの必要性、費用の見積もり確認など、管理会社と入居者の間で連絡を密に行うことが大切です。特に忙しい時期やシーズン中は予約が取りづらいこともあるため、早めにスケジュールを抑えるようにしましょう。費用負担に関して疑問があれば、その段階でしっかりと説明を受け、必要に応じて契約書の再確認を行うとトラブルを避けられます。
修理にかかる時間とスケジュールの想定
エアコン修理は症状によっては数十分程度で済む軽微な作業から、部品交換のために数日~1週間以上かかるケースまでさまざまです。真夏や真冬は需要が集中しやすく、業者の予約が取りにくい場合もあるため、余裕をもったスケジュール調整が望まれます。修理が長引く可能性があると感じたら、管理会社に状況を共有して早めに代替案を検討しましょう。
修理実施と事後確認
修理の際は、業者が到着したら症状や困っている点を改めて伝え、作業後には動作テストを行ってもらうことが大切です。修理が完了しても異常が継続する場合や、新たな不具合が発生した場合はすぐに業者または管理会社に伝え、再度点検を依頼しましょう。事後確認を怠ると、後から問題が発覚して追加費用が発生するリスクもあるため注意が必要です。
修理が長引く場合の賃料減額交渉のポイント
エアコンが夏季や冬季に長期間使えない状態が続くと、室内環境の快適性が著しく下がり生活に支障をきたすこともあります。このような場合、改正民法やガイドラインに沿って賃料の減額を管理会社や大家と話し合うケースがあります。減額の割合や適用期間は状況によって変わるため、交渉の際にはトラブルの経緯や修理の見込みを明確に伝えることが大切です。
無断修理のリスクとトラブル回避策
借主が独断で修理業者を呼び、修理を行うと、費用負担や修理内容をめぐって後でトラブルとなることがあります。特に、部品交換や大がかりな作業で不適切な修理が行われた場合、追加の不具合が発生しても管理会社や大家が責任を負わないケースもあります。必ず事前に管理会社や大家へ相談し、指示を仰ぐことでリスクやトラブルを最小限に抑えましょう。
エアコン故障リスクを低減する定期的なメンテナンス
エアコンの故障リスクを下げるためには、定期的なお手入れや点検が欠かせません。
日常的に使うエアコンを長持ちさせるには、フィルター交換やクリーニングなどの基本的なメンテナンスを習慣化することが不可欠です。さらに定期的に内部の掃除を業者に依頼することで、カビの繁殖や部品片の詰まりを防ぎ、冷暖房効率を高められます。こうした予防策を取ることで、急な故障や高額修理のリスクを大幅に減らすことができるでしょう。
フィルター清掃や内部クリーニングの頻度
フィルターは1か月に1度を目安に掃除すると、ホコリによる目詰まりを防ぎ冷暖房効率を維持できます。また、年に一度は業者に内部クリーニングを依頼することで、見えない部分のカビや汚れを除去できるため、臭いや体調不良の予防策にもなります。定期的なメンテナンスこそがエアコンを故障から守る一番の近道と言えるでしょう。
室外機周辺のケアと注意点
室外機の周囲に物を置いて通風を妨げると、放熱がうまくいかず冷暖房効率が著しく低下します。特に夏場は室外機の排気熱がこもりやすいため、エアコン本体に負荷がかかり故障の原因にもなり得ます。また、落ち葉や砂が入り込むと部品の故障につながる場合もあるため、定期的に周辺を掃除しておくと安心です。
寿命や経年劣化を考慮した交換タイミング
エアコンの一般的な耐用年数は10年程度とされていますが、使用環境やメンテナンス状況によって左右されます。しきりに故障が出はじめたり修理料金が高額な場合は、交換を検討するほうが長期的にみると経済的な選択になることも多いです。特に古い機種は省エネ性能も劣るため、新品への買い替えでランニングコストを下げられる可能性があります。
事前に試運転を行う重要性
夏本番や真冬の時期に入る直前に、エアコンの試運転をしておくことで急なトラブルを早期発見できます。運転中に異音がしないか、しっかり冷暖房が効き始めるかなどを確認し、気になる点があればすぐ管理会社へ連絡しましょう。需要が集中するシーズンを外して修理対応が行えれば、予約も取りやすく迅速な対処が可能となります。
故障を防ぐための工夫
契約や入居前の段階で、エアコンに関する確認や記録を行い、いざというときに備えましょう。
賃貸のエアコン故障で慌てないためには、契約時にエアコンが設備として含まれているのか、あるいは残置物として扱われているのかをしっかり確認することが重要です。入居したばかりの時期は、エアコンの動作確認をはじめ、気になる点を写真や動画で記録するなどの工夫をすることで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
賃貸契約時に確認すべきエアコンの状態
契約前に、エアコンの動作チェックを必ず行いましょう。冷房の冷え具合や暖房の立ち上がりなど、ある程度稼働状況を把握しておくと、入居後のトラブルを予防できます。もし動作に不安を感じたら、管理会社に「設備としての修理保証はあるのか」「交換検討の余地はあるか」などを確認し、契約時の取り決めを明確にしておきましょう。
入居時点での設備チェックリストの作成
エアコンに限らず、賃貸物件の設備を総点検するチェックリストを作成し、入居直後に確認を行うと安心です。もし不具合が見つかった際には写真や動画で記録し、すぐに管理会社へ連絡しておけば、後から「入居者の責任ではないか」と疑われるリスクを減らせます。こうした書面やデジタル記録はトラブル対処の際に強い証拠となるでしょう。
契約書に記載された設備管理ルールと免責事項の把握
契約書には、エアコンを含む設備の修理負担や免責事項などが細かく定められていることが多いです。特にエアコンが残置物として扱われる場合は、修理負担を借主が負わなければならない場合や、設備そのものが保証対象外となる場合もあります。契約書を隅々まで確認し、疑問点はその場で解消することが、後々のトラブルを避ける上で大切です。
エアコン故障対応まとめと注意点
ここまでのポイントを踏まえ、賃貸物件におけるエアコン故障対応の全体像を改めて整理します。
まず、エアコンに異常を感じたら簡単なチェックを行い、それでも改善しない場合は管理会社や大家に速やかに連絡することが重要です。修理費用の負担は、故障の原因や契約内容によって異なるため、事前に契約書を確認しておきましょう。
修理業者は原則として管理会社や大家を通して手配し、無断で修理を行うと費用負担や保証の面でトラブルになりかねません。日頃のメンテナンスを怠らず、試運転を定期的に実施することで、大がかりな故障リスクを減らすことが可能です。契約時には設備の取り扱いについて十分に確認し、動作状況をチェックして記録を残しておくことで、もしもの時にもスムーズな対応ができるでしょう。
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