所有している物件が空き家について貸したいと考えるとき、
まずはどういう貸し方があるか?メリットデメリットは?わからないことが沢山出てくるかと思います。
このブログではそんな空き家をお持ちの方に向けた説明していきたいと思います。
1.空き家を貸すときの選択肢
空き家を貸す際には様々な選択肢があります。
リフォームやリノベーションを行い、その後で貸す
空き家をリフォーム、またはリノベーションをして設備をかえるなど綺麗に生まれ変わらせてから賃貸に出すという選択肢です。
リフォームやリノベーションを行うことで、家賃を高めに設定したり、より多くの人に興味を持ってもらうことが可能になります。
ただし、費用や予算のバランスがとれているのか、ニーズがある改装なのかどうか?よく考えて計画をする必要があります。
そのまま貸す(ペット可・DIY可など条件を付ける)
そのままの状態で空き家を賃貸市場に出すという選択肢もあります。
例えば、ペットが飼える、DIYが可能など、特定の条件を付けて付加価値を上げて市場に出すことも戦略の一つです。
リフォームやリノベーションなどの改装費用が掛からない分収益率が上がることも大きなメリットです。
ただし、その分ペットのひっかき傷や思いもよらない改造を施された結果、汚損が酷くなってしまうデメリットもあります。
敷金を償却する特約を付ける等の退去時トラブルが起きにくくなる条項を設けるとよいでしょう。
定期借家契約にしてそのまま貸す(いずれ自己使用予定に有効)
定期借家契約とは、契約の更新がなく契約期間が満了したら契約終了し一定期間のみ家を賃貸するという契約形態です。
この場合、一定の期間だけ空き家を貸すことになり、今後自分や家族が居住用で使用したい場合に有効な選択肢となります。
しかしながら、借りる側としては一定期間以内に出ていかなくてはいけなくなるため普通の賃貸よりもニーズが少なくなり、成約しにくくなるというデメリットがあります。
シェアハウスに改装する
空き家をシェアハウスとしての利用を考えることも可能です。
メリットは空室リスクが分散でき、需要が安定していること。
シェアハウスは借りる人にとっても賃料を安く抑えることができる経済的な魅力やコミュニティがあることなどの魅力があり一定層に厚いニーズがあり大きな付加価値なります。
デメリットはリノベーションが必要になる場合が多いこと、入居者同士の距離が近い為、トラブルが発生する可能性が高く管理コストが大きいことです。
例えば、入居者の審査を厳正に行う、入居者同士気持ちよく暮らせるルールをつくるなどトラブルが起きにくい体制を作ることが重要になります。
事務所などのビジネス向けに賃貸として提供する
空き家をビジネス向けの賃貸物件として提供することも一つの選択肢です。
この場合、事務所や店舗などとして利用されることが一般的ですが、小さい家でも需要があるのかしら?と不安に感じるかと思いますが、小規模の法人事務所やSOHOなど意外なニーズがあります。
また、居住用よりも概ね家賃相場が高く、収益率が大きいこともメリットです。
しかし、分譲マンションの規約や近隣環境によってはビジネス向けにできない場合がありますので規約を確認しておきましょう。
また、不特定多数の人の出入りが想定される、夜間の作業により騒音や思わぬトラブルが起きる可能性もあります。
特約を付ける、募集する条件を設定する際にNGな業種を考えるなどの対策が必要になってきます。
民泊を始める
訪日外国人観光客が増えて今にわかに注目されている民泊ビジネスを始めるという選択肢もあります。
これには、民泊向けの設備と綿密な運営管理が必要になりますが、高い利益を得ることが可能です。
デメリットは、不特定多数の人が出入りし、騒音などの近隣トラブルが発生しやすくなることや生活習慣の違いにより部屋を大きく破損するリスクがあります。
民泊でうまく収入を得るには、例えば地域の特性や地域のイベントの有無などのを活かして、時期を逃さず「収入の見込める時期にしっかり稼ぐ」ことが肝要です。
中には、民泊繁忙期には民泊で、それ以外は「マンスリーマンション」や「イベントスペース」として貸し出し、収入を得る方法もあります。
設備を民泊以外の用途に応用できるように整備しておくと、180日制限に縛られずに収入を得やすくなります。
等価交換を行う
等価交換とは、ディベロッパーが土地上に建物を建て、竣工後に土地の一部と建物の一部を等価で交換する建築方式のことです。
土地所有者が建築費を負担することなく土地活用を始められる開発手法になります。賃貸マンションやオフィスビル、分譲マンション等の比較的大きな建物を建築する目的で利用されることが多いようです。
メリットはなんといっても借入をすることなく不動産事業を始められること。
土地所有者は建物投資を行わないことから、自己資金も借入金も不要です。仮に将来家賃収入が減少したとしても、借入金返済に対する不安もありません。また、ディベロッパーが主導になって事業を進めてくれることから、知識がなくても土地活用ができるため、事業リスクは極めて小さい土地活用と言えます。
あわせて「中高層耐火建築物等の建設のための買換えの特例」という制度を利用することで課税の繰り延べを行うことができます。
メリットが大きい一方で、そもそもディベロッパーが事業を行いたいと思えるような土地でないと話がこないため
誰でもできる方法ではないことに注意が必要です。
また、竣工後、建物に関しては共有または区分所有によって1つの建物を2者以上で所有することになりますので、不動産の権利が複雑化します。
また、土地に関しても共有とすることが一般的です。
1つの不動産を2者以上で所有することから、竣工後の管理や売却、将来の建て替え等にも支障を生じることが考えられます。
そして、ディベロッパーとの間で最終的な還元床の調整が難しいというデメリットもあります。
解体して土地として活用する
最後に、空き家を解体して駐車場や貸地として活用するという選択肢もあります。
これには解体費用が必要になりますが、土地としての価値を活かすことが可能になります。
2.空き家を賃貸にするメリット
空き家を賃貸にすることには、いくつかのメリットがあります。
安定した定期収入を得ることが可能
まず第一のメリットとして賃貸に出すことで、安定した定期収入を得ることができます。これは、空き家を維持するだけではコストのみかかりマイナスになるところを収入が入ることで、資産として活用できることとなります。
自分自身がいずれ入居することも可能
自分自身が将来的にその物件に住む可能性がある場合でも、賃貸に出すことでその間の収入を確保することができます。もちろんお子様などに住んでもらうことも考えられるかと思います。
もしもご自身またはご家族が使うかもしれない場合には普通賃貸借ではなく定期賃貸借契約にするとよいでしょう。
老朽化を遅らせる効果
空き家を放置しておくと、老朽化が進行します。
これは、ドアや窓が閉まったままにより換気が悪くなるためです。
換気が悪くなると湿気がこもり柱や壁などが傷み、クロスや天井・床にもカビが繁殖しやすくなります。
しかし、賃貸に出すことで人に使ってもらい建物のメンテナンスや修繕を行う機会が増え、老朽化を遅らせることが可能です。
3.空き家を放置するデメリット
空き家を活用することで多くのメリットがあります。
それだけではなく、空き家を放置すると以下のようなリスクもあります。
税金が高くなる!?
空き家は所有するだけで固定資産税が発生します。また、都市計画区域内の場合は都市計画税が発生します。
固定資産税や都市計画税は、住宅用地の特例により軽減措置があるのですが、「空き家対策特別措置法」により、下記のような条件に該当する放置空き家は特定空家と指定されると、この軽減措置が使えなくなり結果として固定資産税と都市計画税が高くなるのです。
特定空き家に該当する条件は下記の通りです。
- 衛生面で有害となるおそれがある
- 倒壊などの保安上の危険がある
- 周辺住民の生活環境を妨げている
- 景観計画やルールに適していない
もしも、特定空家に指定され、行政から上記の状態を改善するように指導や勧告を受けても従わなかった場合は、行政代執行により強制的に解体されることもあります。
その際にかかった解体費用は解体後、所有者に請求されるため、ご注意ください。
老朽化が早まり、倒壊の恐れも…
前述の通り、空き家は放置しておくと老朽化が進行します。老朽化が進んでしまうと資産価値も低下し、いざ空き家を売却したいと思ったときに売るのが困難になってしまうでしょう。
さらに、老朽化した空き家は、台風や地震などの自然災害に対して脆弱になります。これにより、周辺の建物や通行人に危険を及ぼす可能性が高まります。また、空き家の外観が劣化することで、近隣の環境にも悪影響を与える可能性があります。
最悪の場合、空き家が倒壊する恐れもあります。これは、所有者だけでなく近隣住民にとっても大きな問題となります。
犯罪者が不法占拠し、治安が悪化する可能性
放置された空き家は、犯罪者による不法占拠の対象、犯罪の温床となることがあります。
実際に、放置された空き家が振り込め詐欺の犯行拠点として使用されていたケースがあります。
そのほかにも、人気のない放置空き家は放火犯に狙われたり、不法侵入者に勝手に住み着かれたりする被害も多いです。
これらの問題は、地域の治安や安全性に大きな影響を与えかねません。
4.空き家を賃貸にするデメリット
一見メリットとやらなくてはいけない理由が多い一方で、空き家を賃貸にすることにもデメリットが存在します。
空室になり収益が上がらない可能性
賃貸に出しても、エリアや条件によってすぐには入居者が見つからない場合があります。その間、物件は空室となり、収益がまったくない状況が続く可能性があります。
つまり、このような事態を防ぐためにも、周辺相場やどのような需要があるかなど募集条件をよく研究してみる必要があります。
経営コスト・メンテナンス費用がかさむ
賃貸物件を維持するためには、定期的なメンテナンス・設備の修繕が必要です。これには、定期清掃や入居者募集の際に支払う広告費、入居中に設備が故障した際の修理費用などが含まれます。
また、成約率をあげるためにリフォームやリノベーションをする場合かなりの費用が発生します。
つまり、計画をする際に長期修繕計画をたて収支バランスが見合うのか確認したり見通しを立てておくことが大切です。
また、家賃収入は不動産所得に該当するため、不動産所得が年間20万円以上ある場合は、確定申告を行う必要があります。
初めて確定申告を行う場合は、慣れない作業に疲弊してしまう人もいるかと思います。
空き家1戸であれば、確定申告を税理士に依頼するほどではないかもしれませんが、状況によってはプロに依頼したほうがよいかもしれません。
入居者や近隣とのトラブルが起こる
賃貸物件を運営する際には、入居者や近隣住民とのトラブルが起こる可能性があります。
これには、入居者による騒音問題やゴミ出しの問題、家賃滞納・入居者の死亡などあらゆるトラブルを想定し、対処方法を検討していく必要があります。
5.賃貸するときにかかる費用を確認!
賃貸する際には、以下のような費用が発生します。
リフォーム費用
物件を賃貸に出す前に、必要なリフォームを行うことがあります。これには、内装の修繕や設備の更新などが含まれます。
しかし、前述の通りリフォームをあえてしないまま賃貸する方法もあります。
コストが抑えられる一方で、成約賃料が低くなるなどそれぞれメリットデメリットがありますので、不動産会社や内装業者とよく相談し、考えていくと良いでしょう。
水回りの修繕費
水回りの設備は、頻繁に使用されるだけでなく、漏水が発生すると莫大な修繕費用が掛かるため、定期的なメンテナンスが必要です。
これには、配管の交換やトイレの修理などが含まれます。
屋根や外壁の修理費
屋根は建物を雨や風から守る重要な部分です。
もしも、劣化があると雨水などが入り込み建物の寿命が短くなります。
また、外観は建物の顔でもあるため綺麗にすることで成約率があがる場合があります。
そのため、タイルの張替えなどの定期的なメンテナンスや修理が必要です。
修繕メンテナンス費用など後からかかってくる費用
賃貸物件の運営には、見えない費用も含まれます。
これには、定期修繕やメンテナンス費用や管理会社に依頼した場合に発生する管理費、自分が所有している家が原因で人を負傷させたり、人の持ち物を破損したりしたときの損害賠償を保証してくれる施設賠償責任保険などが含まれます。
これらの費用を考慮して、賃貸の収支計画を立てることが重要です。
多くの費用が掛かる空き家活用ですが、国や自治体の補助金制度を活用することで、これらの費用を抑えることが可能です。自治体の出している情報を確認してみると良いでしょう。
6.空き家を賃貸にするまでの流れ
空き家を賃貸にする際の基本的な流れは、次のとおりです。
- まずは不動産会社に相談
- 入居者の募集開始
- 入居者と賃貸契約の締結
上記の流れは、空き家を賃貸にするときの一般的な流れです。
自分自身で賃貸経営を行う場合などは流れが異なることがあります。
1. まずは不動産会社に相談
空き家を賃貸にするときには、まず不動産会社に相談します。
賃貸を開始する際には、賃貸経営の計画を立てることが重要です。
しかし、自分だけではなかなか計画を立てるのは難しいものです。
計画を立てるには、賃貸需要の有無や空室率、賃料の設定など、不動産賃貸の専門的な知識が必要だからです。
そのため、不動産賃貸管理会社に相談しましょう。
2. 入居者の募集開始
不動産会社に賃貸の相談をして仲介の契約を締結したら、入居者の募集が開始されます。不動産会社は、次のような方法で入居者を募集します。
- インターネットサイトに賃貸情報を掲載
- 不動産関連の冊子に情報を掲載
- チラシ広告の実施
- 既存顧客への紹介
- 空き家に入居者募集の看板を設置 など
もし、入居希望者から問い合わせがあったら、不動産会社と問い合わせてきた人とで空き家の内を確認します。
いわゆる内覧(内見)のことですね。
3. 入居者と賃貸契約の締結
入居希望者が空き家の内覧をして借りることを決定したら、賃貸契約書の締結を行います。
賃貸借契約では入居者と大家で次のような取り決めを行います。
- 賃料
- 敷金や敷金の額
- 契約期間や更新
- 契約解除や特約 など
賃貸契約ではさまざまな事項を取り決めするため、記載事項を正確に把握しておくことが重要です。契約書や重要事項説明書の作成・説明は専門的な知識が必要であるため、不動産会社とよく条件や意向を共有し作成してもらうとよいでしょう。
7.空き家を貸すときの注意点・考慮すべきこと
メリットもデメリットを理解いただけたと思いますが
空き家を貸すときには、以下の点に注意する必要があります。
今後自分が住む予定があるか否か
自分自身が将来的にその物件に住む可能性があるかどうかを考慮する必要があります。
その場合、契約を定期借家契約にするなど契約内容をかえるとよいでしょう。
物件を貸すときの相場や需要があるか否か
物件を賃貸に出す際には、その地域の賃貸相場や需要を考慮する必要があります。そもそも需要がない場合や需要に見合わない賃貸管理は失敗する可能性が高くなります。
需要を調査し、物件の募集条件の設定や集客戦略を立てることがとても重要となってきます。
貸した場合の損益分岐点はどこか
賃貸を始める際には、損益分岐点を計算することが重要です。
リフォームなどのコストをかけた際に、どれだけの家賃収入があれば利益を出すことができるのかを把握することができます。
リフォーム・リノベーションをする場合、その費用対効果はどれくらいあるか
リフォーム・リノベーションを行う際には、その費用対効果を考慮する必要があります。
リフォーム・リノベーションにかける費用は少額かつ軽微なものからほぼ建て替えの様な大規模なものまで様々。
折角費用をかけても需要のない改装はコストばかりが発生し空室が改善しない最悪のケースも!
本当に需要があるのか、リフォームした場合に家賃がいくら増額可能か、その増額分でペイできるのか?よく考慮していく必要があります。
キャッシュフローは大丈夫?
賃貸を運営する際には、キャッシュフローの管理も重要です。
最終的に利益を出せることがわかっても運営の途中に資金繰りに問題が発生するのは困りもの。
賃貸が持続可能であるかどうかを判断するためにも長期修繕計画をたてていつ頃どれぐらいの費用が発生するか、ご自身のライフプランニングも考慮しつつ考える必要があります。
不動産活用とライフプランニングって関係があるの?
賃貸にライフプランニングは関係あるのか?と思う方も多いかと思いますが、私は大いにあると考えております。
人生の節目節目に出費がかさむ時期・そうではない時期が存在します。
その時期と建物の修繕計画でリフォームやリノベーションなどの大型出費の時期と重なると資金繰りが一気に悪化してしまう可能性があります。
ライフプランニングを考える事で不動産だけでなく将来どうありたいか、大切な資産をどう未来につなげていくか?考えるきっかけにもなると思います。
不動産活用を考える節目の今から、むしろ今だからこそ計画をしてみてはいかがでしょうか。
8.不動産管理会社に相談してみる
空き家を活用するにしてもそのままにするにしても方法やメリット、デメリットはわたります。
これらを全て考え、計画を立てて考慮することは非常に難しいです。
まずは信頼のできる不動産管理会社に相談してみることをおすすめします。
山友管理は、創業20年以上の経験と豊富な専門知識を持っています。
そのため、あなたの空き家を効果的に活用するためのアドバイスを提供することが可能です。
まずは気軽にご相談ください。
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